腰椎椎間板ヘルニアと、腰部脊柱管狭窄症が、坐骨神経痛を伴う腰痛の中で、2つの代表的な疾患です。前者は、青壮年期に多く、後者は、加齢による退行性変化(老化現象)が主体なので、高齢者に多くみられます。
ロコモティブシンドロームの要因の一つです。
脊柱管狭窄症は、骨の変形、或は、変性すべり症などが原因で、腰椎の真中にある脊髄が通る管が狭くなり、脊椎を圧迫し、末梢神経障害を起こします。(図)
症状としては、お尻から腿の後側や、外側、膝の外側、足首にかけての痛み(坐骨神経痛)が多くみられます。神経障害によって、軽い麻痺や、筋力低下(つまずきやすい等)を引き起こすこともあります。足の痛みや、痺れを訴える患者はかなり多くいます。
最も特徴的な症状は“間欠性跛行”です。これは、数分間歩くと、足が痛くなって歩けなくなるが、少し休んだり、屈んだりすると歩けるようになり、またしばらく歩くと、また痛くなるといった症状を繰り返すことです。
下肢の閉塞性動脈硬化症によっても、間欠跛行が起こることもありますが、脊柱管狭窄症との区別は、姿勢の変化によって、痛みが消失するかどうかによります。脊柱管の狭窄がある場合、腰椎が反った姿勢では、狭窄が強まるため(図)、しゃがんだり、手すりに寄り掛かったりしないと、楽にならなりません。一方、動脈の閉塞による場合は、姿勢に関わらず、休めば痛みは治まります。
治療に関しては、症状が軽い場合には、理学療法などで、十分症状がとれます。重症の場合は、手術をするケースもあります。しかし、まず2〜3ヵ月の間、保存療法(手術以外の治療法)で、様子を見ることをお勧めします。自覚症状の改善ができれば、手術を避けることができます。

|